「う〜さぶ。流石にここは冷えるわね」

 私――霊夢の配達ルートはまあなんというか、特殊な所。幻想郷である意味、一番寒いところ。夏の怪談にぴったりな場所――冥界。他にも呼び名は霊界とか黄泉の国とか色々あるけど、平たく言えばあの世。死んだ人が行くところ。そうだったはずの場所。けど、今はそれも昔の話。

 スキマ妖怪とか、大食い幽霊とかのせいで、結界は綻び、生きた人間でもいける。そして、逆に死んだ人間がこっちにこれるようにもなってる。

「もう、生きてるのも、死んでるのもあんまし変わんないわよね」

 特に大食い幽霊とか、庭師とか見てると、生者と死者の差なんて何かあったけと思ってしまう。

「私も人のこと言えた義理じゃないけど」

 私も花見に冥界の知人のところに行ったりするからね。本当に私も人のことは言えない。庭師は早く元に戻さないととか言ってたけど、私はこれでもいいと思う。あの事件から結構時間が立ったけど、元に戻る気配がないって事は、この状態に皆が不満も無く馴染んでるということだし。そしてそれは幻想郷事態が望んだことなんだと、なんとなくだけど思う。

(問題が無いならそれでいいのよ)

 変に昔のからの決まりとかにこだわる必要は無いと思う。だから、このクリスマスも新しい幻想郷の一部でいい。

(ただ、これに押されて正月が無くなるだけは駄目だけど。お正月は一応稼ぎ時だし)

 新しい変化、クリスマス。アリスの話だと雪が降るとホワイトクリスマスって言うらしい。雪で一面真っ白だからだ。けど、ここにはそれも必要ないかも。

「見えてきた」

 冥界の最終目的地――白玉楼。見事な和風庭園。そこに敷き詰められた真っ白な砂利。ここはいつも真っ白だ。あそこには腹ペコ幽霊――西行寺幽々子と庭師の半人半霊の魂魄妖夢が住んでる。他にも雑用係の幽霊が居るけど、1人、1人(?)名前までは覚えてない。それはともかく、中に入ろう。

  少女ピッキング中

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