中は見たままそれほど広くも無く、すぐに妹紅の姿を見つけることが出来た。私は袋から彼女へのプレゼントを取り出すと、それを枕元に静かに置く。
(ん?)
枕元、私が置いたプレゼントのすぐその隣に、一枚の手紙。宛名はサンタ。この場合は私になる。
(何かしら?)
家族が欲しい 藤原妹紅
(クリスマスと七夕がごっちゃになってますわね)
う〜ん。やはり、これまで幻想郷にはクリスマスなんて無かったようなもの。そうこに急に広めようとすれば、こういうこともありえるということ。
(プレゼントが貰える。と、願いが叶う。という点では近いですわね)
さて、これはどうしようかしら。妹紅の願い。それは簡単にかなえることが出来るようなことではない。けれど、簡単に諦めるわけにはいかない。それはお嬢様の顔に泥を塗ることになる。
(家族か……)
妹紅に恋人を紹介する? 無理。今夜中出来ることではない。第一に妹紅のタイプも知らない。となると、あとは……。
(これしかないわね)
唯一、そしてベストと思える策。それを実行する。
少女移動中
「ふう、無事付きましたね」
人を1人抱えて飛ぶのは予想以上に疲れる。彼女、妹紅を担いで私は人里にまで出てきた。ちなみに妹紅はパチュリー様からいただいた『死にまねのお香』とかいう、ぐっすりと眠れるお香の香りでぐっすり。多分、明日の朝までは起きないでしょう。
「確かこの辺りに……」
目的の場所を探す。人里でも特殊なその場所。半人半獣の彼女――上白沢慧音が開いている寺子屋。幻想郷で住民に知識を与える唯一のその場所を探す。
「あ、あそこですね」
見つけた。あの大きな建物だ。あそこに間違いない。
「臨時のプレゼントを配らないと」
少女ピッキング中