「ふぅ〜、これなら思ったより早く片付きそうね」
私――咲夜は袋を背負いなおす。私が担当するのは竹林。ここだけ。他の3人には数箇所回ってもらうように指示を出している。私1人だけが一箇所。魔理沙あたりが知れば怒るかもしれない。しかし、私は代理とはいえ依頼主。主導権は私にある。
それにこの竹林は迷いの森と呼ばれるほど、道に迷いやすい。霊夢、魔理沙あたりは多分適当に飛んで道に迷うだろう。(それでもあの2人とことだから運だけで、解決しそうだけれど)私とアリスはそのあたり慎重なので、迷うことなく目的地に進むことも出来る。
そういう意味では公平、適材適所と言える。現に私の仕事は後少しだ。この結果が全てを物語っている。
「え〜と、次はどこかしら」
スケジュール表(最速ルート表)を見直す。先程、夜雀の所に行ったから次は……。
「次は妹紅のところね」
妹紅の家はミスティアの屋台(兼家)からすぐ近く。歩いていける程度の距離。
「あれですね」
小さな家。この国の様式の家がある。ただこの家も家としての機能とは別に店としても活用されている。
「焼き鳥屋『もっこす』」
以前、彼女は焼き鳥屋をしているという話を聞いたことがあった。けれど、まさか本当に店を開いてるなんて思いもしなかった。今度、お嬢様におみやげに買っていこうかしら。ただ……、
(センスはありませんわね)
家の前にかけてある堤燈(火は消してある)と、看板。その二つに書かれた『もっこす』という文字。店の名前なんでしょうけど、これはセンスが無い。お嬢様といい勝負かもしれない。
と、いけない、時間はあまり無い。早めにここも終わらせないと。
「それじゃそろそろ入りましょうか」
少女ピッキング中