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冬。私はこの季節が好きだ。寒いのは苦手けど、楽しみも増える。だから、私は好きだ。と、そんな話をすると、決まって皆『ああ、鍋に酒に美味しい季節だからね』とか言う。

失礼な話だ。別に私も年がら年中酒のことばかり考えているわけじゃない。私がこの季節が好きなのは人も妖怪も皆揃って、年越し準備に大忙し。その慌しい活気を見るのが好きなんだ。

なんていうのか、あの慌しい活気を見ると楽しくなる。特に人里の市場なんかが一番楽しい。皆、慌しく動いてるけど、それでも楽しそうにしている。その『慌しい活気』が好きなんだ。まあ、酒と鍋の組み合わせも好きだし、雪見酒なんてのも良い。大晦日の晩に皆で集まって、宴会なんてのは最高。

でも、これもその慌しさなんだ。それが楽しいんだ。だから、酒だけじゃないんだ。と、強くここで念を押しておく。ただ、あそこで倒れている巫女みたいな。どんよりとした慌しさは嫌だけど。

そこで、倒れている巫女は『年末年始は稼ぎ時!!』とか、10月の半ばぐらいから叫んでいたはずなのに、ギリギリまで準備をしなかった。で、一週間前というところに来て慌てて、おみくじ、破魔矢、絵馬、お守りに飾りつけ。それに出店の打ち合わせだなんだとを、今さっき、ほんの10分前ぐらいに終わらせて、死ぬようにその場に倒れた。一応、私も飾りつけとかできるところは手伝ったけど、巫女が倒れるのは防げなかった。

「霊夢、生きてる?」

「……死んでるわよ。というか、もう少し死んだままにさせて……」

巫女――博麗霊夢はうつ伏せに倒れたまま動かない。とりあえず、まだ、生きてはいるらしい。とはいえ、このまま畳に突っ伏したままじゃ、風邪ぐらいは引きそうだ。そうなると、大勢の妖怪と一部の人間が(宴会が出来なくなるので)困ってしまう。仕方がない。

バサッ。

とりあえず、その場に布団を敷いて、その中に霊夢を投げ込む。これでよし。あとは、数時間たてば勝手に復活するだろう。

さて、それじゃ、『年の瀬』を、その動きを見てこようかな。

「霊夢、出かけてくるよ〜」

「行ってらっしゃい。お土産よろしくね。萃香〜」

鬼にお土産頼む巫女ってどうなんだろうって思いつつも、とりあえず、その言葉を聞いて、私――伊吹萃香は神社を出た。

東方鬼騒録

〜幻想郷の年の瀬〜

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