「う〜ん」
「どうしたの圭ちゃん?」
「いや、ちょっと迷ってて」
「迷ってる?」
「ああ。どれ買おうかなってな」
「どれって?」
私はふと、圭ちゃんの後ろにある棚に眼をやる。と、そこにはガン○ムのプラモデルが沢山並べられていた。
「いや、これだけあると迷うんだよな〜」
「………」
『う〜ん』と、腕を組む圭ちゃん。なんか、一気にさっきまでおラブロマンスモードが消えていく。
「いや、やっぱ俺個人としてはそこのMGHi―νガ○ダムが欲しいんだけど、前原圭一としてはやはりMGストライクフリーダム×ンダムのスペシャルバージョンを買わなければいけない気もするんだよな〜」
私は圭ちゃんが言う2つのプラモデルの箱を手に取り見比べる。正直な所、色以外あんまり変わらない気がするんだけどな〜。圭ちゃんはまだ子供ってことか。
ラブロマンスモードは消えたけど、いつもの、久々に見る私が……その、す、好きな圭ちゃんの姿だ。だから、これはこれで嬉しいな。
真剣に悩む圭ちゃん。私はそんな圭ちゃんに参考までの意見を出す。
「圭ちゃん」
「ん?」
「オジサンはこっちが良いと思うよ」
「ストライクフリーダムか?」
「うん、だってなんか、こっちの方が色、綺麗だもん。それに何故か知らないけど、圭ちゃんにはこっちの方が似合う気がする」
「そうか、そうだよな。んじゃ、こっちを買うぜ」
「うん」
「魅音」
「ん? 何、圭ちゃん?」
「選んでくれてありがとうな」
圭ちゃんらしいその笑顔。この時、私の3週間にわたるバイトが報われたと思う。