「はぁ〜」
私は溜息と共にカウンターに突っ伏す。
バイトを始めて早3週間。今日はバイトの最終日12/24。そして、その最後のバイトも後1時間ほどで終わる。
この3週間、イロイロなことがあった。学校はいつもどおりだったが、週末のバイトじゃ、皆の様々な姿を垣間見た。
部活での復讐に燃える羽入。コスプレ女王を目指す梨花ちゃん。今年の礼にと圭ちゃんへのプレゼントを探す沙都子。詩音の暴走に悩む悟史。んで、さらなる暴走を試みる詩音。そして、フリッカージャブとやおいに情熱をかけるレナ。
「濃いかったな〜」
本当に濃くも楽しいバイト生活だったと思う。けど、私の心には今1つの大きなわだかまりがある。
「結局、圭ちゃんは一回も様子見に来てくれなかった……」
他の部活メンバーが皆様子見に来てくれた中、圭ちゃんだけが店に1度も来なかった。別に来てくれと頼んだわけじゃない。けど、
「1回ぐらい見に来てくれても良いじゃないか……」
本当、ただの1回ぐらい来てくれても良いと思う。なんだかんだで、他の皆は週末のたびに様子見に来てくれていた。けど、その皆の中に圭ちゃんの姿だけはまるで居ないのが自然だと言わんばかりに無かった。
レナに聞いても『最近、圭一君は部活にもあんまり参加しないで、帰ることが多いよ。あと、週末も何か用事があるから忙しいみたい』なんてことしか解からなかった。
「人の気も知らないで……」
それが本音だ。このバイトだって、圭ちゃんのためにやってる。もちろんそれが私の勝手な言い分だってのは解かってる。別に圭ちゃんにここで働けとか言われたわけじゃない。ただ私が圭ちゃんに振り向いてほしくてやってるだけだから。
「圭ちゃんのバカ……」
呟く。バカなのは私。解かってるけど認めたくない。だから圭ちゃんのせいにしてしまう。
そんな私に上の方から返す言葉が、今一番聞きたい声で聞こえてくる。
「なんで俺が馬鹿なんだ?」
「え?」
慌てて顔を上げる。するとそこには、
「……圭ちゃん」
「よぉ。様子見に来たぜ」
私が見たかった人の顔がそこにあった。