「私が悟史君をからかう? そんなこと私がするわけ無いじゃないですか!!」

「あんたが悟史を好きで、振り向いてもらおうと必死なのは解かるよ。けど、コスプレとか胸とか、なんでそんなに露骨なのよ? そんなやりかたじゃ、普通は引くんじゃない? 大体、悟史と圭ちゃんはその辺は鈍いって言ってたのはあんたでしょう?」

「お姉こそ解かってないです!!」

「何がよ?」

「良いですか? 悟史君は鈍いです。それは私がよく知ってます。そんな彼に振り向いてもらうには生半可なやり方じゃ駄目なんです」

 そりゃまあ、理解できる。けど、こいつのやり方は既に暴走している。

「けど、コスプレと胸は……」

「あれは私が独自に調査した結果です!!」

「調査?」

 あ、また、なんか嫌な予感がしてきた。

「ええ、エンジェルモートでアンケートとったり、少年漫画読んだり、世の男のロマンと言われる同人誌を読んだりして、私が導き出した答えがそれなんです!!」

嫌な予感的中。

「何故、そこまで偏る!?」

「TVドラマや雑誌のような生ぬるい方法では悟史君は落とせません!!」

「あ、あんた……」

 ドラマとかも展開的にはありえないが、それでも同人誌よりはましな気が……。というか、もう、こいつのやってることは同人誌とかとも違う気がする。

 けど、そんな私の意見はどうでも良いらしく、詩音は自分の思いのたけを全力で私にぶつけてくる。

「いいですか? これだけははっきり言っておきます」

「何よ?」

「萌えが嫌いな男なんていません!!」

「うわぁ〜……」

 断言する詩音。この時、私にはこいつを説得するのは無理ってのが良くわかった。

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