「沙都子、その袋は何? やたらと大きいけど?」
「ああ、これはレナさんと羽入へプレゼントですわ」
「え?」
沙都子は言いながら袋からぬいぐるみを2つ取り出す。非常に出来のいいクマとパンダのぬいぐるみ。ああ、なるほど。確かにあの2人はこういうのが好きだろう。さすが沙都子、そういうところは良く理解してる。けど、これはどうしたんだろう?
「実は先程、そこのアーケードのゲームセンタに行って来たんですのよ」
「あ〜、あそこね」
「そこで、超大型クレーンゲームの特別企画をやってましたの」
「特別企画?」
「中の景品のぬいぐるみがブランド物になっていましたの」
「まさか、それ取れたの?」
「はい、楽勝でしたわ。あの程度の設定ならプヮーフェクトですわよ。ヲホホホホホホホ」
上機嫌で答える沙都子。ああ、清清しいまでに勝者の笑み。健気な少女の面影は消えたな。しかし、たいしたもんだ。そういうイベントって、基本的に客引きイベントで、実際には全然取れないようになってると思うんだけど。あ、でも、この娘なら取れるか。そういうのに関しては我が部一だもんね。
「それでプレゼント代が浮いたと」
「ええ。あげく店員が『すみませんがもう勘弁してくださいませんか』って青ざめた顔で言ってきた時は気分爽快でしたわ♪」
「………」
「で、気分も良いのでにーにーのついでに圭一さんの分のプレゼントも奮発してあげようと思いましたの。まあ、それが無かったら圭一さんの分のプレゼントは私特製『デンジャーギミックボックスSATOKOスペシャル』になってましたわね」
「……そう」
「あ、安心してくださいまし。魅音さん達の分はもう既に近くの雑貨屋に予約してありますわ」
「あ、ありがとう」
「と、いうわけで魅音さん、男の子が喜びそうなプレゼントを一緒に考えてくださいまし」
つかつかと男の子コーナーに歩いていく沙都子。私はその後ろをゆっくりとついていく。本当、こいつはとんでもないヤツだ。さっきまでのメッキはもう完全に剥げてる。けど、これがこの娘の本当の魅力、可愛いところなのかもしれないな。
「魅音さん、どうかしました?」
「あ、なんでもない」
さ、それじゃ、私達の可愛い後輩のためにしっかりと選んであげますか。