「ふぅ〜疲れた〜」
羽入が帰ってから約1時間。なんというかあっという間に時間が流れた。それこそ羽入が来る前までは暇過ぎて『この店は大丈夫なのか?』なんて心配したけれど、それは要らぬ心配だったらしい。
羽入が帰った後、まるでそれを計ったかのように客が途切れなく店に流れてきた。子供から大きなお兄さんまで幅広い年齢層が絶え間なくだ。
んで、気付いたんだけど、客はほぼ8割が男だ。前にお母さんから『男の子供と大人な違いなんておもちゃが好きかどうかさ』なんて聞いたけど、本当にその通りだと思う。
そして、このお客様達は流石というかなんというか、本当流石この店に来る客だと思ったよ。
この1時間で来た客(男限定)の半分が美少女フィギュアを買っていった。まあ、この店はそういうお客様を対象にしている部分もあるから解からないじゃないけど、う〜ん。それらを買っていった大きなお兄さん達がやたらと濃いのには疲れたな。フィギュア選ぶ時に『ミーア萌え!!』とか『イリヤたん。貧乳!!』とか、聞こえてきた時には男は馬鹿なんだななんて考えてしまった。
まあ、そんな狂乱の時間も終わり、今ようやく落ち着いたところ。
「あ〜、お茶が美味しい……」
我ながら年寄り臭い気もするけど、まあ、落ち着けるからOK。それにここには誰も居ないし……。
「魅ぃ、お疲れですか?」
「おわっ!?」
不意に呼ばれて、ビックリする。
「り、梨花ちゃん?」
「はいです」
カウンターの真下。その死角に梨花ちゃんがいつの間にか来ていた。
「いらっしゃい。何時来たの?」
「今です」
愛らしい笑みで答える梨花ちゃん。さっきまでの疲労が癒されるな〜。
「魅ぃ、今日は予約していた商品が届いたと、電話があったので取りにきたです」
「あ、アレは梨花ちゃんのだったんだ」
そういえばさっきおじさんから『今日、予約品を取りに来る客があるから』って言ってたな。
「待ってて。すぐに取って来るから」
品物は裏の方に置いてあるはず。持ってくるか。