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 時刻は深夜10時過ぎ。場所は遠坂邸の一室。
「なるほどね……。なかなか大変だったみたいね?」
 私の報告を聞き終えた彼女の第一声がそれだった。
「……なかなかではない。『かなり』だ」
「悪かったわよ……」
 今日一日のことを『なかなか』の一言で済まされるわけにはいかないので、すかさず訂正しておく。
「結局、解決できた悩みなど1つもない。まさに無駄骨だ」
「悩みを解決するのは本人しだいって事ね」
 今日という日の教訓がまさにそれだ。というより、これしかないのだが。まあせいぜい、今日聞いた悩みで解決できそうなものはアサシンの食事の件ぐらいだろう。まあ、キャスターが用意してくれるのならだが。
 まあ、なんだかんだで皆この時代で問題なく生活している。それが確認できただけでも成果はあっただろう。
 これで本日の仕事は終わった。今日は身も心も疲れた。早く帰って休ませて貰おう。
「さて、さすがに今回は疲れた。私は休ませて貰う。いいな凛?」
 凛の返事を待たず、足早に部屋を出ようとする。が、
「あ、ちょっと待って」
 と、無常にも呼び止められてしまう。
 私は湧き上がる感情を抑えつつ、彼女へと顔を向ける。
「……何か?」
「そう露骨に嫌な顔しない。最後に1つ聞きたいだけよ」
「?」
「アーチャー、あんたは何か悩みないの? 今なら相談に乗ってあげるけど?」
「………」
 はははっ。つまり最後は私ということか。なんという皮肉だろうか。思わず危険な笑みが浮かんでしまう。
 そんな私の様子を不信に思ったのだろう。凛が私の顔を覗き込んでくる。
「? 何よ? 変な顔して?」
 さて、このお優しいマスターを心配させるわけにはいかないな。ここはいつもどおりにに対応させていただこう。
「それなら1つ言わせて貰う」
「どうぞ」
「私のマスターはいささか性格と思考に問題がある。そのためいつも苦労させられている。これが私の悩みだ」
「あんた……」
 凛の表情が一気に変わる。これだけ露骨に反応するということは自覚があるのだろう。まだ、救いはあるか。とは言え、ここで止める気は無い。今日の機会にはっきりと言っておくことにしよう。
「事実だ。今回の一件も君の安易な考えが原因だ。すこしは自重したまえ」
「悪かったわね!!」
 言葉とは裏腹に怒鳴りつけてくる凛。それは反省している者の態度ではないぞ凛。説教が必要のようだ。いいだろう。丁度良い機会だ。今日はとことん話し合おうじゃないか。
「そう思うのなら、言葉だけではなく態度で示して欲しいものだな!!」
「あんたこそ、その嫌味な性格直しなさいよ!!」
「君の歪んだ性格よりはましだ!!」
「………!!」
「………!!」
 結局、私と凛はあくる日まで『互いの悩み』を話し合った。そういうことにして置いてほしい。